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メッセージ

皮膚科医を志すみなさんへ 2024


「病気が目で見えて、触ることができる」ということが皮膚科ならではの魅力であり、醍醐味ではないかと思います。皮膚科医は、患者さんの皮膚病変を詳しく観察し、さらに身体的性質・特性や社会的背景を含めて総合的に検討し、目に見えない内臓の病気を早期に発見することが可能です。また、検査値や画像所見からでは診断できない疾患であっても皮疹から診断し、早期治療につなげることもできます。また、皮膚病変部を生検すれば、その病理組織所見から数多くの情報を得ることができます。「なぜ紅斑が多発しているのか?」「この腫瘤の中で何かおこっているのか?」など様々な皮疹の原因、病態解明につながる情報を得ることができます。そして、その情報から適切な治療法を選択することができるのです。すなわち、皮膚科学は「マクロからミクロへ、そして、ミクロからマクロへ」と綺麗につながった一連のロジックを体験できる魅力ある学問であると感じています。実際、私自身も日々、皮膚病変の中に新たな発見を見出すことができ、今でも興味が尽きません。皮膚は、全身を覆い内臓を守る重要な臓器であり、人体最大の臓器でもあります。皮膚に生じる全ての疾患を扱うため、皮膚科学の診療領域は多岐にわたります。主に、①皮膚アレルギー・炎症性疾患・自己免疫異常疾患や皮膚病変を伴う膠原病に代表される「内科的皮膚疾患」と②良性腫瘍や悪性腫瘍の切除、再建、化学療法を含めた「外科的皮膚疾患」に分類されます。群馬大学皮膚科では、アトピー性皮膚炎、湿疹性疾患(乾癬、紅皮症など)、水疱症・膿疱症(天疱瘡、類天疱瘡、膿疱性乾癬など)、薬疹(スティーブンスジョンソン症候群、皮膚中毒壊死症)、皮膚病変を伴う膠原病(強皮症、皮膚筋炎など)・血管炎、皮膚感染症(細菌・真菌・ウイルス)といった数多くの疾患を診療しており、「内科」と「外科」の両方の仕事をバランス良く学ぶことができます。加えて、「病理診断」も積極的に行っています。すなわち診断から治療まで一貫して行うことができます。私もこれまでに内科、外科、研究といろいろな経験をさせていただく機会を得ました。そのような経験から、若手医師には、一部の皮膚疾患だけではなく、全ての皮膚疾患、さらには関連する内科・外科的症状に対しても自ら対応できる能力を持てるように指導していきたいと思います。

群馬大学皮膚科には、数多くの専門外来(現在、15種類)がありますが、これほど多くの専門外来を有する大学病院は数多くありません。また、入院数、病床数も国内で上位に入っております。外来回診(週に1回)、病棟回診(週に1回)、病理組織カンファレンス(週に1回)を定期的に行っており、診断・治療に対する十分な意見交換、勉強をすることができます。また、研修医に対して助教以上の指導医による皮膚科セミナー(講義)を定期的に行っており診断能力の向上に努めています。当科では、これらの充実したプログラムを研修することが可能です。

研究(基礎研究、臨床研究)をしてみたいと考えている方も歓迎しております。我々は、日常診療で出会った症例を大事にして、臨床の中で感じた疑問点や問題を解明したいという熱い思いをもって研究を行っています。少しでも患者さんの治療に還元できる成果をあげることを教室の目標としております。また、研究をすることは、臨床能力の向上につながると考えています。研究する内容は、内科、外科、病理と幅広くありますので多くの選択肢があります。群馬大学内外の臨床や基礎の教室との共同研究や工学部との医工連携を積極的に進めてきました。大学院に進学した場合、十分な時間を研究に当てることができます。大学院に進学しない場合でも、臨床業務を行いながら基礎研究、臨床研究に従事できるように指導しています。さらに、国際社会の中でも活躍できるような医師を育成するために、積極的に国際学会で発表し、国際雑誌に報告できるように指導致します。海外留学生の指導にも力を入れており、最近ではスリランカ、ネパール、インドネシア、モンゴルからの海外留学生を受け入れて指導しており、国際色豊かな研究室になっています。さらに、国際的に有名な施設への海外留学をすることも可能です。これまでに多くのメンバーが様々な国々への留学を経験してきました。

関連病院は群馬県、栃木県に数多くあります。専門医を習得するための認定施設は8か所あります(石井病院、伊勢崎市民病院、太田記念病院、桐生厚生総合病院、渋川医療センター、高崎総合医療センター、前橋赤十字病院、佐野厚生総合病院)。これらの施設には、全国的にも実績のある有名な先生が所属しており、充実した臨床経験を積むことができます。また、国内留学によって、さらに高度な臨床研修を受けることも可能です。皮膚外科の研鑽を積むために、埼玉医大国際医療センターや国立がん研究センター東病院などの有名な施設へ国内留学させていただいております。

上州(群馬県)の名物と言われる「かかあ天下とからっ風」。冬に吹き付ける赤城おろしと群馬の女性は「しっかりしていて働き者」として有名です。当科でも女性の医師は数多く在籍しており、みなさんイキイキと活躍しています。出産、子育てによって仕事が中断してしまっても復帰しやすい環境作りに配慮しています。子育てをしながらも働くことができるようなシステムである群馬大学病院の「医師ワークライフ支援プログラム」(https://mec.dept.showa.gunma-u.ac.jp/mes/)も活用しています。

当科にて皮膚科学を存分に学びたいと思う方や興味をお持ちになった方はお気軽にメールもしくは電話にてご連絡下さい。また、是非一度教室見学においでください。仲間となって患者さんのために頑張りましょう。

(このホームページだけではなくFacebookにて当科の活動を報告しておりますので、ぜひご覧になってください。)

群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授 茂木精一郎

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